すずめの戸締まり【映画感想】

映画『すずめの戸締まり』公式サイト
扉の向こうには、すべての時間があった―『君の名は。』『天気の子』の新海誠監督 集大成にして最高傑作『すずめの戸締まり』2023年9月20日(水)Blu-ray&DVD発売!
すずめの戸締まり
公開年:2022年
監督:新海誠
主演:原菜乃華(声)
ジャンル:アニメ、ホラー、ヒューマンドラマ
鑑賞日:2022年11月27日
※22.11.27現在公開中の映画です。ネタバレに注意。

『すずめの戸締まり』ネタバレ感想

映画1本分無料のポイントが貯まっていたので「ま、観てやるか^^」という気持ちで行きました。超良かったです。舐めプして申し訳ございませんでした。
そもそも、私は新海作品を面白いと感じたことがない人間で、辛うじて好きなのは『秒速5センチメートル』…他は一応見てるものの記憶を失ってます(天気の子は見てない)。作画の綺麗さは好きです。
なので今回も全然期待してなくて「まぁタダ見だし綺麗な作画を映画館で観れるならいいか」という軽い気持ちで行きました。
ホラー9割・泣かせ1割の最高映画でした。
というわけで出来れば観てほしいためワンクッションが長くなりましたが…以下ネタバレを含むあらすじです。
『すずめの戸締まり』あらすじ
幼少期に東日本大震災で母親を亡くしたすずめは、叔母の家に引き取られて宮崎で暮らしていた。そこで全国の後ろ戸を閉じて回っている閉じ師のそうたと出会う。後ろ戸とは廃墟に現れる常世に繋がる扉で、そこから出てくるミミズが地上に横たわると大地震が起きてしまう。すずめは成り行きでそうたに協力することになるが──。
まぁとにかく一番びっくりしたのは主軸に置いてるジャンルがホラーだということ。
「お前が扉閉めないと何百万人も死ぬぞ!!」って劇中で何度も言われるし、ミミズのデザインも地震の予兆の演出もかなり不気味です。そのおかげで常に緊張感がある展開になっていて、寝なかった(ハードル激低感想)。なんか全体的に宮崎駿を目指そうとして押井守になってたのも好感を持てました(持つな)
そして、そういう「突然の災厄で死ぬかも」という…いわゆる万人向けの恐怖・デカイ概念の恐怖に対し、主人公すずめは「人の生き死には運」と言い切る武侠みたいな女。死ぬのは運だから死ぬのも「怖くない」と言ってのける恐怖の外に居る女というのが上手いなと感じました。
ただ当然、こうしたすずめの強さは幼少期の震災の恐怖・諦観から来た歪んだ強さなので、そうたとの出会いを通じて「好きな人には死んでほしくないし、自分も死にたくない」という気持ちを徐々に取り戻していくのもよかったです。すずめの強さは閉じ師としては最高ですが、それを物語の中で肯定したまま終わらないというのはとても大事なことだと思います。
一方でそうたも、閉じ師として生まれたから閉じるのは当たり前(つまり、何百万の命を背負って生きるのは当たり前)と思っているイカレ自己犠牲お兄さんなので、そもそもこの物語は「異常者&異常者のバディが異常災厄に立ち向かう話」なんですよね。やっぱりそうたもすずめと出会ったことで「まだ生きたい」という気持ちを獲得できます。すずめ・そうたでテーマがブレてないのもストレスなく見れる理由かなと感じました。
私は新海作品の童貞臭い男女の描写が苦手だったんですが、今回は二人とも戦国乱世の価値観で生きてたのでまったくそういった描写はありませんでしたね(生きるも死ぬも運じゃけぇと思ってる女子高生相手にどうこうなれないだろ!というのは本当にそう)。
また、異常側の2人に対して「大勢側」のサブキャラの配置も巧みで、特にすずめを引き取って育てた環おばさんがめっちゃくちゃ良いです。「震災で親を亡くした子なんてどうしたって気を遣う」と思わず言ってしまうのも「でも(あなたを育ててきたのは)それだけじゃない」と言うのも、どちらも真実だろうし、本当にそういう人は「いる」だろうなと思いました。
あと道中に出会う優しい人々も若干ツッコミどころはあるものの、私も宮崎旅行に行った際にエグいくらい優しくしてもらったので正直九州~四国の人間ならマジでああいう人居そう…と思いました。芹沢もたまに訛ってたから地方出身という設定なのかもしれん。
デカいダイジンのほうはよくわからんかったが、ミニダイジンのほうは「ワイと一緒に居るために死にかけながら後ろ戸を閉めてくれるすずめ…すこやw」というクソ神様ムーブをかまして好きでした。
たぶんだけど「そうたを椅子(要石)にする→自分がすずめを後ろ戸に案内する→閉じていく中ですずめが閉じ師の自覚持つ→そうたをためらいなくミミズに刺す→ワイとHAPPY END…」というゴミみたいな思考で動いてたんじゃないかなと解釈してます(八百万神に対して偏見ありすぎ)。
すごい長文になっとる…。あとはまとめ方も綺麗で好きです。かなり王道な伏線回収でしたが、王道だからこそスッと終われる良さもありますね。

劇中の東日本大震災について

私は一応東日本大震災で被災し、割れた道路や止まった信号を見ながら電気の落ちた店に並んだ経験を持つ身なのですが、宮城に居たわけじゃないので被災者としてはかなり中途半端です。

だから実際に東日本大震災にトラウマがある人の目線には立てませんが…光景の描写や警報の音はかなり忠実に再現されているので注意が必要です。これは断言できます。

震災そのものを雑に扱ってるかという点に関しては、少なくとも私はそう感じませんでした。できるだけ真摯に描こうとしてるのは伝わります。

そもそも、「地震を起こすミミズ」は出てきますが「東日本大震災はミミズのせいで起こった」とは明言されないんですよね(たしか…)。これで「あれもミミズのせいなんだよね^^」ってされてたらモヤモヤしたと思いますが…え?明言されてないよね?不安になってきた。

たぶんちゃんと「ミミズで地震は起こるが、それはそれとして普通の地震(人の手でどうにもならない地震)も起こる」という世界観で書かれてると…思います。

関東大震災はミミズのせいにされてました。

5段階評価

おもしろさ:☆☆☆☆
画の綺麗さ:☆☆☆☆☆
テンポの良さ:☆☆☆
キャラの良さ:☆☆☆☆☆
この路線で作り続けてほしい:☆☆☆☆☆
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