エクソシスト 信じる者【映画感想】

映画『エクソシスト 信じる者』公式サイト
比類なき恐怖が目覚める。『ゲット・アウト』『M3GAN/ミーガン』をはじめとした異色のヒット作を生み出し、ホラー・スリラー界を牽引し続けるブラムハウスが新たな恐怖を世に解き放つ。『ハロウィン』シリーズ3部作のデヴィッド・ゴードン・グリーンを監督に迎えて描くのは、悪魔に憑依された二人の少女をめぐる壮絶な物語。かつて娘が同...
エクソシスト 信じる者
公開年:2023年
監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン
主演:レスリー・オドム・Jr
ジャンル:ホラー
鑑賞日:2023年12月9日

『エクソシスト 信じる者』ネタバレ感想

70年代ホラーの名作『エクソシスト』の正当な続編として公開された作品。マジで激アツで良かったので忘れないうちに感想書きます。

映画のあらすじ

▼『エクソシスト 信じる者』あらすじ
ある日娘が行方不明になってしまったヴィクターは、同じく行方不明になった娘の友人の両親と必死に捜索をする。3日後、娘たちは無事保護されたがどこか様子がおかしい。段々と常軌を逸していく娘たちを前に、ヴィクターは「悪魔憑き」だと仮説を立て、かつて娘を悪魔から救ったという「クリス・マクニール(前作の主人公)」に連絡を取る。しかし悪魔祓いには正統な神父の協力が必要で…。

前作を見ておくとより楽しめますが、見てなくても十分に楽しめます。

個人的には見てから今作を見てほしいけど『エクソシスト』はマジで汚くて臭くてグロいので無理な人は無理です!ご自愛!

ストーリーの面:2023年にふさわしい激アツ副題回収

超よかったです!!まだ観てない人はこれ読んでないで見てくれ!!

…とか言ってますが、私も最初『エクソシスト 信じる者』が『エクソシスト』の50年ぶりの正統続編と聞いて、気になってはいたものの実はそんなに期待していませんでした。

というのも、『エクソシスト』は悪魔の醜悪で不潔なところが強調されているので、十字架が幼女の(自主規制)に突っこまれて血だらけになるシーンとかあるんですが、現代の映画ではその方向での悪魔の恐ろしさを描くことは絶対無理だからです。

だからマイルドな悪魔ホラー映画になるんじゃろなと思って観に行き、実際前半は大体そんな感じでした。とにかく描写がマイルド。前作ではバリバリ映してた異常放尿シーンも今作は「おねしょしてるぞ」で終わり。悪魔に取り憑かれたのが女の子2人なので、グロができない分この2つの家族の葛藤や苦しみがメインになるのかなあと思ったり…

が、前作の主人公クリス・マクニールが出てきて徐々に方向性が変わってきます。

クリスを通して作中で何度も強調されるのが「悪魔はどんな宗教にもいる」という情報。これは一見悪魔の普遍的な恐ろしさを示しているようです。そして、友人が勝手に招き入れたヴードゥーの祈祷師が追い出されるシーンでは「キリスト的な力が必要」という印象を受けます。

ところが、前作とは違い、教会から悪魔祓いの許可が下りない。下りないが、ヴィクターを始めとする親たちやその友人は自分たちで悪魔祓いをやると決意します。集まったのは、ヴィクターら両親、流産した経験を持つ看護師、妹を亡くした友人、ただの街の牧師、そして一回追い出されたヴードゥーの祈祷師です。

前作は、「何度もパズズとやりあった最強の神父」が正式な許可のもと悪魔祓いをします。今作はどう見ても価値観も宗教もバラバラの民間人の集まりで、非常にわかりやすい対比となっています。

ここで違う意味を持ってくるのが、クリスの「悪魔はどんな宗教もいる」という言葉。どんな宗教にもいるということは、どんな信仰でも対抗しうるということ。ヴィクターたちの決死の悪魔祓いが進むうちに、宗教も文化も国も関係なく、「『誰か』が『何か』を信じる心」さえあれば勝ち筋がある、という意味を持ち始めます。それは神でも先祖の霊でも愛した人の魂でも我が子でも、もっと漠然とした何かでもいい。悪魔の普遍性がこちらの武器になるのです。

『信じる者』の意味、アツすぎる…!

多様性とかを主軸に置くとすぐコンプラと言われがちの昨今ですが、ここまで見事に作中で納得できるロジックを提示する作品はなかなかないのではないでしょうか?

キリストパワーでしか自分を祓えないと慢心している悪魔を、信仰を束ねたでかいハンマーで殴る。

これぞ“2023年”の“エクソシスト”ですよ。

全世界の悪魔は今すぐ『エクソシスト 信じる者』を見て対策を考えたほうがいい。お前たち、今のままじゃ負けるぞ。

さらにこの映画のすごい点は、「なんとしても子を救いたい親」と「悪魔の言葉に乗ったら確負け」という前作のデカい二要素を一切変えていない点。特に後者はどんなに子供を愛していたとしてもどんなにしんどい状況だったとしても「悪魔の言葉は聞くなつったよな?」で全部突っぱねてくるので気持ちいい(気持ちいい?)。

信じる者の強さを主軸にしながらも、悪魔の理不尽な恐ろしさはしっかり忘れずに描いてくれているので、やっぱり『エクソシスト』だなと思うわけです。

最後に、字幕版で見たときに感動したシーンを当日postしてたので以下に転記しておきます。

本編に悪魔を「Deceiver(欺く者)」と呼ぶシーンがあるんだが、字幕だと副題の「Believer(信じる者)」と対になってるのを汲んで「欺く者」にデシーバーってルビ振ってくれてて天才!?になった パンフ買いました
元ツイ

吹き替え版のほうもちょっと見たいかも…いや~いい映画でした。

ホラーの面:アツすぎて正直怖くはない

ホラー映画を期待して今作を見た場合、正直そこまで怖くはないと思います。グロ・お下劣演出もぬるい。っていうかほとんど画面に映らない。

ストーリー面も先述の通りホラーかGガンダムかで言うとGガンダムなので、恐怖に慄きたい人にとっては物足りないでしょう。本国での評価もおおむねそんな感じっぽいです。

これは個人的な推測ですが、今の時代VFXやアテレコだったとしても、子供が過剰に酷い目に遭ったり下品な言葉を使ったりするシーンはNGなんじゃないでしょうか?しかもこれゲ謎と同じPG12だし。

前作『エクソシスト』は子供メインでほんとにほんとにほんと~~~に汚なくグロいですが、あれが好きな人はもう時代に取り残された亡霊である自覚をしたほうがいいかもしれません。私も『エクソシスト』の正統続編であんなにマイルドになると思ってなかったです。

また、じわじわと不安を煽るBGMや画面構成は断然前作のほうが上。今作はデカい音が多めで、デーモンわびさび(悪魔が少しずつ近寄ってくる恐ろしさのこと)はほとんどないです。

まあ、ホラー映画として楽しむなら前作『エクソシスト』を見て、今作を見ながら50年の規制ときの流れを味わうのがいいかもしれません。

5段階評価

おもしろさ:☆☆☆☆☆
画の綺麗さ:☆☆☆
テンポの良さ:☆☆☆☆
キャラの良さ:☆☆☆
死ぬだろうなって感じのカラス神父似の神父が死ぬ:☆☆☆☆☆

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