【試し読み】CoCシナリオ『幼気の徒死』

CoCシナリオ『幼気の徒死』

気づいたら、その人を持って逃げていた。
◆概要(PL開示情報)

PL人数:1人(KPCとタイマン)
所要時間:ボイセ1時間~3時間
探索者:新規・継続不問。KPCと相棒・恋人・親友など。

KP難易度:易
謎解き難易度:普通
戦闘難易度:普通
戦闘:完全回避可能
ロスト率:中

推奨技能:とくになし

形式:人目を忍んだシティ・ルルブ第6版準拠
ジャンル:エモーショナルホラー
キーワード:生首、逃避行、死の香り

利用規約(必読)

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【導入】
KPCがバラバラ死体で発見された。無事だった首以外は布で隠されたまま棺に収められている。探索者はKPCの葬儀に出ている。

※大切な人(KPC)の生首を持って逃げるところから始まります
※生首シチュの上澄み・エモの上澄みだけ吸いたい向け
※PC・KPCの両生還が可能です

※確定で葬儀→生首持ち去りなので探索者は喪服で探索になります(エモ~)
※KPCの首を持っててもいいですが、立ち絵と一体にせず別途表示/非表示ができたほうが便利です

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当シナリオは作者主催の『TRPG封印指定企画』の作品です。

企画趣旨は「#フォロワーからもらった要素を封印してシナリオ書く」というタグを呟いてフォロワーに指定された要素を出さずに一本シナリオを書くというものでした。

このとき頂いた封印要素は以下になります。

・いい感じのとこに置いてる凶器
・出てきて即死ぬNPC
・テプラ
・長めの資料
・地下室
・最終行動宣言

よって当シナリオには上記要素は出てきません。


※この記事は【試し読み】です。シナリオ全文・画像素材は下記ページで有料頒布しています。

CoCシナリオ『幼気の徒死』SPLL:E119442 - ゴムヤボシ - BOOTH
気づいたら、その人を持って逃げていた。 ◆概要(PL開示情報) PL人数:1人(KPCとタイマン) 所要時間:ボイセ1時間~3時間 探索者:新規・継続不問。KPCと相棒・恋人・親友など。 KP難易度:易 謎解き難易度:普通 戦闘難易度:普通 戦闘:完全回避可能 ロスト率:中 推奨技能:とくになし(強いて言うなら目星・図...

※以降の項目はKPのみがお読みください。

※トレーラー画像直後の目次がネタバレなのでお気をつけください

背景

警察署でKPCを迎えに行く~葬式(儀式)当日→ナガアエに操られている
生首(シアエガ奪取)~KPCに会う→シアエガに操られている

詳細はわかりにくいので箇条書きにする。

  1. 一部ナガアエとシアエガ教団が結託してシアエガの力だけを拝借しようとする
  2. 教団、ヴァエヤンを模した石塔を各地に設置
  3. 信者ナガアエたちがそれに気づき、どうにかしようとするがヴァエヤンの力に阻まれて直接干渉できず、周辺をうろつくようになる
  4. KPC、たまたま通りかかったせいでナガアエに教団員だと思われて襲われる
  5. KPC、ナガアエをワンターンキル(実は生きてる)
  6. KPC、伍堂刑事に同行し、探索者に迎えを頼む
  7. 探索者、警察署に来る
  8. 探索者、瀕死のナガアエに呪われ、認識阻害の上シアエガ奪還以外の行動ができなくなる(KPCが死んだと思い込み、葬儀に出るための行動をする)
  9. KPC、なんも知らないままナガアエ対策のために放浪
  10. 探索者、葬儀場(実際は儀式中のカルト教団アジト)に凸
  11. 探索者、KPCの生首(実際は封印されて丸められたシアエガ)を奪還
  12. 教団、シアエガ奪われたから世界終わるやんけと思い夜逃げ
  13. 探索者、シアエガに触ったので化身化が始まる
  14. 探索者、エモってるうちに化身化が進む
  15. 探索者、KPCに会い、認識阻害に気づいたのと同時に化身化が顕在化
  16. 早くなんとかしないと死ぬ~

なおシアエガ周りの設定や展開はエディ=C=バーティン著『Darkness,My Name Is』(シアエガ初登場回)を参考にしている。KPは適宜公式サプリのほか、ウィキペディア等を参照するとわかりやすいかもしない。

ちなみにシナリオのタイトル『幼気の徒死(いたいけのとし)』は当シナリオ中にあるシアエガの特性「使徒の携帯(しとのけいたい)」の逆さ読みであり、今回の謎解きにひっかけている。

登場NPC・神話生物

1.神話生物

①シアエガ
神格/敵対/確定遭遇
カルト教団に封印されて小さく丸められた。全身バキバキ。探索者を操って自由の身になろうとしている。6版、マレモンにも掲載されているが、当シナリオに関係がありそうな記述は新マレモンに詳しく載っている。

②ナガアエ
神話生物/敵対/確定遭遇
「シアエガ様解放するぞ派」と「シアエガ封印して力だけほしいよ派」に分かれている。どっちの派閥も人間の敵。

③探索者(シアエガの化身)
神話生物/-/-
KPCが死んだと思って悲しみに暮れているうちにシアエガの化身になっていた。触手が飛び出す描写は当シナリオオリジナルである。本来のシアエガの化身は正気を完全に失っている分、見た目にはそれほどの変化はないらしい。

2.NPC

①伍堂
人間/味方/ルートにより遭遇
怪異事件に詳しい刑事。KPの探索者に適任の刑事PCがいたら差し替えて構わない。

②KPC
人間/味方/確定遭遇
ナガアエ事件を一人で解決しようと頑張っていたのに探索者が余計なことに巻き込まれてて「は?」になる人。よく考えると全ての原因。

シナリオの見方

目次があるので適宜飛んでください。

●凡例
<探索ガイド>…シナリオ上用意されている探索場所。
[KP情報]や※…KPのみが知る情報。橙色で記載。
[開示情報]…なんらかの行動後、PLに開示していい情報。
【(技能名)】…該当技能を振ったときに出る情報。マイナス補正は目安であり、KPが適宜調整してよい。暗い赤で記載。
[こんな感じの部分]とか群青色の部分…状況に合わせて適宜変更してほしい部分
☆…SANチェックポイント
“”…資料
→〇〇へ…次のイベントもしくは移動先の場所
◆…戦闘相手
◎フラグ…回収されたフラグ

赤字になっているところは、重要情報だから削除しないでほしいところです。

KP準備

本シナリオでは特別な事前準備は必要ありません。

こちらは試し読み版です。本来のシナリオzipセットには、pdf版・txt版・グーグルドキュメント版の本文と画像素材セットが入っています。

導入

※以下、シナリオ本編
※ここから「イベント:それは何?」まで探索者は頭がパーになっているだけなので、PLから質問があった場合は適宜「背景」を参照しつつ答えること
※無理にエモRPを促したりしていじめないこと

{KPC}が死体で発見された。
数日後、探索者は喪服を着て、黒一色の他の参列者と同じように棺の前に立った。

{KPC}の棺は、花で埋め尽くされていた。首から下は布がかけられていた。穏やかな寝顔だけがそこにあった。「あれは?」と誰かが呟いたが、明確な返事はどこからもなかった。

布と花が猟奇を隠していた。

▶Call of Cthulhu『幼気の徒死』

探索者は、警察に呼ばれて真夜中に走ったのを覚えている。今の柔らかな花の上ではなく、その人は冷たい鉄の板に乗せられていた。上にかけられている布も、くすんだ灰色のドレープだった。

「{KPC}さんは路上で襲われて…」と刑事が言った。それにどう応えたかは忘れたが、そのあとに「体は見ないほうがいいです」と告げられた。

探索者はそこで、一度は頷いた記憶がある。ただ、刑事が外の人間に呼ばれて少しだけ離席したとき、探索者はドレープを掴んでめくってしまった。

{KPC}の遺体は、四肢と首が切断されていた。

[KP情報]ここは回想シーン。

—————————————–

花を手向ける番が回ってきた。その顔以外明瞭さを持たない{KPC}が、すぐ目の前で花を待っている。そうしてこのあとひとかけらも残さず焼かれ、あのときのドレープと同じ色の塵になる。

しかし、探索者はたしかに、たしかに聞いたのだ。

「まだ居たい」

という、{KPC}の声を。

静けさを割る。探索者の両手が{KPC}の頬を包む。持ち上げられた首と共に花が舞う。大きな百合が床に落ちる。菊が整列を乱し、布の上で黄色が跳ねる。悲鳴が上がる。白と黒の幕が揺れる。百の花を散らして、探索者はそのひとを攫った。参列者たちの前に、布で隠されていた猟奇が現れる。今知るのと、あの真夜中に知るのとでは、どちらがほんとうに辛いかなど、探索者にもほかの人々にも答えようがなかった。ただ探索者は知っていたから、連れていけたのだ。

[KP情報]葬儀の描写には決定的なものは意図的に排除している。喪服と明言されているのは探索者だけであり、黒と白の幕も鯨幕とは言っていない。また、「あれは?」は布ではなく見知らぬ探索者に対して発せられた言葉。

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※ここまで描写したら→探索:逃避行

探索:逃避行

あれから一晩経った。

探索者は{KPC}の首を持って当てもなく彷徨っている。気温は酷く低い。もう日が暮れかけていて、薄紫が頭上に淡く広がっていた。

あれから{KPC}の声は聞こえなかった。誰も居ない路地で首を取り出しても、目をつぶったまま、動くはずもなかった。急に底冷えするような孤独を感じた。それと同時に「一緒に居れば、また声を聞かせてくれるかもしれない」という思いが胸中で膨らんでいく。どこかに、{KPC}が満足するようなどこかに行かなければならない。

<行き先ガイド>
①探索者の家②KPCの家③高台

[開示情報①]上記以外にもKPCとの思い出の場所があるならそこへ行ってもよい(シナリオ上で描写等が用意されてるのは上記3箇所)。また、「③高台」はこの街の人目がないスポットで、海辺にある。

[開示情報②]首は周囲に見られなければ鞄やリュックなど、どのような形で持っていても構わない。

分岐

①に行く→場所:探索者の家
②に行く→場所:KPCの家
③に行く→場所:高台

[KP情報①]海に行くと元気なKPCに会ってしまうので、海を提案されたら高台に行くように誘導するとよい(人気のない道を選ぶと高台に行ってから海辺に下るルートになる)。

[KP情報②]探索者とKPCが同棲している場合は一方の探索箇所を職場や学校に変えるとよい。

[KP情報③]探索者は丸めたシアエガをKPCの首以外に認識できないものの、以降描写としては「KPCが死んだとするには違和感がある」ものがちりばめられている(特にKPCの家)。これはPLが「もしかして生きてるかも?」と推測できる/身構えるためのヒントであり、これらの描写を全て削ってノーヒントでどんでん返しである「イベント:それは何?」まで持って行ってしまうと、人間関係に遺恨を残す可能性があるので留意すること。

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※逃避行中、探索者が生首(シアエガ)に色々するたびにミニイベントを発生させてもよい→処理:生首へのアクション

処理:生首へのアクション

※探索者が生首だと思い込んでるシアエガになにかするたびに、KPは任意でミニイベントを起こすことができる。このミニイベントは省略・適宜改変しても構わない。

①生首にキスする

物言わぬ{KPC}に口づけた瞬間、止まっていた血が巡るような、重たく沈んだ体が動き出すような心地がした。あるはずのない薫風が鼻を掠める。探索者は一瞬、小高い丘に立っていた。{KPC}と共に歩いたところだっただろうか、明瞭には思い出せなくとも、その数秒の白昼夢が探索者の心を落ち着かせた。

同時に、この首を手放すわけにはいかないという感情が改めて湧きあがった。

[KP情報]布越しだが、シアエガにキスしたので「闇の丘(ドゥンケルヒューゲル)」の幻覚を見た。冷静に思い出すならばまったく記憶にない景色だとわかってもよい。(描写を改変してほおずりや抱きしめるのをトリガーにしてもよい)

②生首をぞんざいに扱う/手放そうとする

突如として、臓腑を引きちぎられるような痛みに襲われる。{KPC}が咎めるような目でこちらを見てる──気がした。この痛みは罪悪感からだろうか、それともあの人が自分を恨んでいるからだろうか。いずれにしても探索者が再び{KPC}の首を優しく持ち上げれば、その痛みは少しずつ収まった。

[KP情報]シアエガの化身として変化が始まっているため、シアエガの意に沿わない行動を取ろうとすると激痛が走る。

③生首と一緒に死のうとする

胎の底に降り積もっていくような孤独と苦しみが、探索者を狂気じみた行動に移させようとした。しかし、腕の中の生首からかすかに

「なぜ?、」

と声がした。咄嗟に視線を向けても{KPC}は動かないままだったが、探索者はもう一度声を聞きたいと願わずにはいられなかった。

[KP情報]シアエガからのツッコミ。自殺願望は止まる。

描写後処理

※探索に戻る→探索:逃避行

場所:探索者の家

※逃避行中、探索者が生首(シアエガ)に色々するたびにミニイベントを発生させてもよい→処理:生首へのアクションへ

自宅前には誰もいなかったが、探索者は少し待ってから慎重な足取りで我が家に戻った。まるで何年も帰っていなかったかのような心地がした。

我が家はすべてが昨日のままだった。テーブルの上にはコップが一つ、葬式前に辛うじて一口だけ飲んだ水がまだ残った状態で置いてあった。ほかには{KPC}と一緒に撮った写真や、{KPC}が置いていった私物ばかりが目にとまる。

<探索ガイド>
①テーブル②{KPC}との写真③{KPC}の私物

①テーブル

テーブルの上に置きっぱなしの水は、酷く冷たかった。

【アイデア】【目星】
コップの水の表面が僅かにさざ波だっている。一瞬地震かと思ったが、特に揺れは感じなかった。

[KP情報]シアエガに反応している。探索者(正確にはシアエガが入ったバッグ)が離れると波は収まる。以降、コップや桶などがある別の場所で同じ描写を入れてもよい。シアエガの邪悪な力に反応しているので、コップがひとりでに割れるといったこともあるだろう。

②{KPC}との写真

笑顔の{KPC}が探索者と肩を並べている。写真の中の空は快晴で、遠くに海が写っていた。幸せを額に入れて閉じ込めたような光景は、今の探索者とって胎の中に鉛を流し込まれたような苦しさがあった。

【聞き耳】【アイデア】【幸運】など
「…い」と掠れたような声がする。
「…たい…」「…う…み…」
か細い声だったが、たしかに{KPC}の声だった。慌てて首に視線を移しても、やはり目も口も閉じられたままだ。
☆SANc(0/1)

[KP情報]シアエガは「まだ痛い」「石塔を皆壊せ」と言っているが、いい感じに海に行きたがってるような感じに聞こえる。

③{KPC}の私物

いつか読んでいた雑誌がそのままになっている。特集されている海辺のカフェに丸がつけられており「今度{探索者}といきたい」とペンでメモされていた。このカフェは高台の傍にあるオープンしたばかりのカフェだ。

[KP情報]探索者を海に誘導するための情報なのでカフェになにかあるわけではない。

探索後描写

もう夜の帳が降り始めている。朝になったらまた警察が来てしまうかもしれない。早急に離れたほうがいいように感じた。

処理

※ほかの場所に行く→探索:逃避行

シナリオ全文はBOOTHにて頒布中

無料試し読みはここまでです。

シナリオ全文は下記から購入できます。興味がございましたら、ぜひ遊んでみてくださいね。

本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION

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