活動報告です!!(超レア現象)
なんとこのたびシナリオライターによる創作BL小説アンソロジー『夏雲』に参加させていただきました!
トロ川様(おさしみ大帝国様)からの頒布になります。下記からどうぞ(10月再販予定)。
私は『蠅』という男子高校生の甥×中年の叔父のBLで寄稿しております。
というわけで本文サンプルを以下に掲載します。一人3000~7000字程度の短編小説集なのでサンプルも短いですが、ご参考までに。
寄稿『蠅』サンプル
『蠅』 作:ヴォンボ
入道雲が青を割って天に向かう時分、彰吾(しょうご)は焦げ付くアスファルトを蹴って家とは反対方向へ走っていた。卸したばかりのブラウスは既にじっとりと汗に濡れ、黒い学生鞄は陽を含みすぎて燃えるように熱かった。
午前に3時間ばかり部活に顔を出した。だがそのあとの友人の誘いはすべて断って、彰吾は一棟の鄙びたアパートに向かったのだ。
カンカンと青錆た屋外階段を上り、202と書かれたドアの前に立つ。彰吾が当然のようにガスメーターの裏から鍵を取って開ければ、狭い狭い廊下の向こうに場違いなほど大きな背中が縮こまっているのが見えた。
唯一の居間であり、たった六畳のその部屋に、彰吾は小走りで駆けていって、鞄を落とすのと同時に膝をつく。
「今日は早いな」
背中が低い声を発する。汗ばんだ薄手のTシャツに隆起した筋肉が透けて見えるようだった。彰吾は何も言わず腕を伸ばして背中の上にある太い首に回した。
「ふーっ……」
そのまま抱きしめるように、うなじに鼻を埋める。汗臭い広い背中に自分の胸と腹を押し当てる。しかし、遠慮のない身じろぎによってそれは剥がされた。
「暑いだろ。やめろ」
「叔父さん、こっち向いてよ」
彰吾の言葉にようやく大きな体が少しだけ後ろを向いた。無骨な輪郭に太い眉と無精髭を生やしたその顔は、やはり何度見てもこんなところで縮こまっているよりは、炎天下の下でコンクリートでも流し込んでいるほうが似合うだろうな、と彰吾は思う。
「どう?」
「何が」
「それ」
彰吾は目を細めて、大男の奥にある型落ちのノートパソコンを見やった。モニタいっぱいに開かれたエディタソフトがほのかな青白い光を放っている。
—サンプルここまで—
参加した感想や単発公開の予定など
既に初版が届いた方から感想を結構いただいており、すべて感謝と共に拝読しております!ありがとうございます!
ほとんど創作BL小説を書いたことがないかつ、執筆メンバーが豪華すぎたのでずっとブルブルしてたのですが、みなさんの感想を拝見してホッと胸をなでおろしている次第です。
『蠅』の個人公開ですが、創作BLをもう何本か書いて『蠅』と一緒に個人誌として出したいな~と思っています。とはいえ全然予定を立ててるわけじゃない(忘れる可能性もある)ので、ひとまず読みたいという方は『夏雲』を手に入れていただければ幸いです!
改めましてこのたびは貴重な機会をいただきありがとうございました!
▼昔一回だけ書いたBL小説も何かの参考になるかも