スポットライト 世紀のスクープ

ひょんなことから観て来ました
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スポットライト 世紀のスクープ(原題:Spotlight)
公開年:2015年
監督:トム・マッカーシー
主演:マーク・ラファロ
製作国:アメリカ
時間:129分
配給:オープン・ロード・フィルムズ
ジャンル:ノンフィクション、犯罪
鑑賞日:2016年4月26日
※現在公開中の映画です。ネタバレに注意。
続きで感想


【だいたいのこと】
ボストンの新聞紙「ボストン・グローブ」は新しい局長を迎えた折に、同新聞内の連載記事「スポットライト」でゲーガン神父の児童虐待事件について取り上げるよう指示される。「スポットライト」取材チームのロビー、レゼンデスらは教会と敵対することに始めは戸惑いを覚えたが、取材を進めていくうちに枢機卿や警察が事件を隠蔽していること、被害児童は深い心の傷を負っていることを知り、取材に力を入れていくようになる。ところがゲーガン神父の事件を調査していくうちに、ボストンではさらに13人の神父が児童を性的に虐待している疑惑が浮かび上がる。ロビーたちは計り知れない怒りと恐れを抱き、記事を確実なものにするため教職者と性犯罪の関係を研究してる専門家のサイプにも電話取材を行った。サイプは言った。「いいやロビー、13人は少なすぎる」
【かんそー】
本国では2015年の11月に公開され、今年の2月にアカデミー賞で作品賞と脚本賞を受賞しましたが、日本では今年4月にようやく公開されました。特に大々的なCMを打たれてるわけでもなく、アカデミー賞の話題もすっかり過ぎ去った今、あまり注目されていない気がします。かく言う私もたまたま時間が空いてなんか観るか~と映画館に行き、あらすじポップ(スタッフさんが手書きしてくれてる)を読んでなんとなく選んだだけなので詳しいことはまったく知りませんでした。ありがとうスタッフさん。
作品賞脚本賞を取ってる作品にわざわざ言うことでもないですがかなり面白かったです。描写も緻密だしテンポもいいし、なにより浅学な身にとっては「こういう現状がある」と知ることができたのがとても大きかった。興味がない・何も知らない層にどうやったらこの社会問題を知ってもらえるか、という点を第一に考えて作られたのではないかなと思いました。それぐらい「飽きさせない」ことに力を入れていた気がします。
印象的だったのは一個の性的虐待事件からボストン全体、あるいは世界全体に及ぶ教会の闇に迫るという緊迫する本筋の展開と同時に、ボストンに暮らす様々な人間がこの街をどう思っているかにも焦点を当てて単なる巨大組織の事件隠蔽に留まらせていないところでした。敬虔なカトリックが愛するつつましく温かい街、移民が感じるよそよそしく居心地の悪い街、都会からやってきた者が感じるどこか奇妙な小さな街、そのどれもがボストンで、それ故に一筋縄ではいかない、という魅せ方がとても好きです。
日本版ポスターと謎の副題でなんか感動ハッピーエンドものっぽい感じに見えますが本編は非常に淡々としてかつ暗く、感情の起伏も悲しさより怒りと嫌悪感が全面に出ていました。子供たちがこんな目に!ひどい!つらかったでしょう!悲しい!を通り越して自分を含むあらゆるものに怒り、嫌悪をあらわにする主人公たちが事件の深刻さを物語ります。
んで、ここからが特に好きな部分ですが超絶ネタバレなので注意してください。
映画も終盤、様々な障害を乗り越えながら記事の連載までこぎつけ、「きっと信者のデモ隊や苦情が殺到するだろうが、やることはやった」と取材チームの面々はひと段落します。翌日レゼンデスとロビーが恐る恐る出勤するといつも以上に静かな社内と、遠くから電話のベルの音が。見れば「スポットライト」の編集室の電話だけが全て鳴っており、電話番が対応に追われていました。電話の主は苦情ではなく、ほとんどが同じように虐待の被害にあった人たちからの電話でした。心配していたデモや苦情の代わりに、けたたましく鳴り続ける電話に呆然とするレゼンデス。しばらくしてよろよろと電話を取り「はいこちらスポットライト…」と応対して画面は暗転。その後白い文字で事件隠蔽に関わった枢機卿は今でもローマの最高位の教会に居ることと、この記事をきっかけに神父の性的虐待が判明した都市が何十箇所も表示され、映画は終わります。
最高じゃないですか?
「スポットライト」の記事が受け入れられたという小さな幸せと、まだ見ぬ大勢の被害者が現実に居るという恐ろしい不幸せが同時に存在しているラストです。苦情の電話じゃないって知ったときにレゼンデスが喜ぶでもなく安心するでもなく、ただ呆然としてるのが本当に良いです…。そのあとの字幕もこの問題がまだ続いてるって強く訴えていて、めちゃくちゃ胸糞悪いけどそれが現実だし、この胸糞悪さを一生忘れないでほしいってことなんだろうなって感じました。(語彙力ゼロ)
こっちが知らなかっただけでちゃんと当時からネットニュースにもなってるんですよね。
ロー枢機卿、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂主司祭を辞任(クリスチャントゥデイ:2011年の記事)
CNNにもロー枢機卿の記事があった記録はあるんですが現在は削除されてるようです…。
いや~なんか…もし映画観たいけど何にするか迷ってる方が居たら是非観ていただきたい…。レンタルになってからでも十分間に合うのでとりあえずいつか観てください。(むしろトイレ行けるし集中できるからそっちのほうがいいような気もする)
余談。
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わかりにくいですがパンフレットが新聞ぽくなってます。質感も限りなく新聞っぽい(もちろん本物よりは丈夫な紙)。
保管は大変そうだけど凝ってるので買って損はないと思います。
それとこの映画、ハルクの上司がバットマンでバットマンの同期の同僚がハワードスタークで職場のトップがセイバートゥースで事件に関わってくる弁護士がドクターマンハッタンというものすごいキャストになってるのである意味アメコミクラスタ向けかもしれない。


【評価】
おもしろさ:☆☆☆☆☆
画の綺麗さ:☆☆☆☆
テンポの良さ:☆☆☆☆
キャラの良さ:☆☆☆☆
もっと知りたい:☆☆☆☆☆
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