この世界の片隅に

観ました
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この世界の片隅に
公開年:2017年
監督:片渕須直
主演:のん(声)
制作国:日本
時間:128分
配給:東京テアトル
ジャンル:アニメ、戦争
鑑賞日:2017年2月23日
※現在公開中の映画です。ネタバレに注意。
続きで感想


【だいたいのこと】
広島市に住むすずは、少しぼんやりしてる、絵を描くことが好きな普通の少女だった。19になると呉市の北條家という家に嫁いだ。すずは失敗も多かったが、夫の周作と、優しい義母と義父と共に楽しく暮らしていた。新しい料理を覚えたり、ときおり好きな絵を描いたりするすずの日々は、海に軍艦が並び、空に訓練機が飛ぶ光景と共にあった。そして1945年の夏がやってきた。
【かんそー】
死ぬわよ。
観終わったあとの無力感と泣きすぎた眼の痛さとで、頭がぼうっとして死ぬと思いました。悲しいというよりは無力感が近いです。登場人物が悲しい目にあって悲しいとかじゃない…無力…ひたすら無力…。すずたちは最後明るさと希望を取り戻してましたけど、こっちはなんか、すずたちみたいに強くないから取り残される…。
最初に言っておくとものすごくよかったからとても観てほしい。ただ劇場に行くまでじゃないなあと思うならレンタルでいいし、地上波まで待つというならそれでもいい。ただいつか必ず観てくれ!!みたいな気持ちです。いや応援になるから劇場に行くのが一番いいんでしょうけど、それは置いておいて、今アツい!今観なきゃ損!という刹那的な熱狂じゃなくて、何年後でもいいからいつか観てほしいという作品でした。裏を返せば何年後であっても素晴らしいと感じる作品であったというわけです。私はね。
私なんかは「戦争の映画。『君の名は。』が流行ったときにこっちもいいよってよく言われてた」程度の知識しか持ってない状態で観たので設定も展開も知らず、一秒ごとにドキドキしながら観ました。(戦争映画だから大変なことになるのはわかってる)だからできればみなさんもその程度の情報で観てほしいなあとは思うんですが、まあこれ自分の感想メモも兼ねてるから書きます。
まずほとんどがすずの呉市での日常です。すずが天然なせいで笑えるシーンも多く、本当に他愛ない、呉市のとある一家の日常が描かれます。しかしその中の光景、すずたちにとっては生活の一部となっている軍艦や訓練機の描写や、ちかちか光る山、ラジオの声、それぞれが(結果を知ってる私たち鑑賞者にとって)不穏な雰囲気をまとっています。突然日常を壊されるという戦争映画によくある展開はなく、少しずつ少しずつ壊れていって、生活をしているすずたちはそれにあまり自覚はありません。もしくは自覚はあっても、それを悩んだり、気にしたりする余裕はありません。おそらく実際に当時の人たちにとっても44年と45年はそういうものだったのだと思います。だから他愛ない日常の描写は作中で重要な役割を果たしていますし、それ故に長く丁寧に描かれています。
後半になるとすずたちの眼前にも戦争が押し迫ってきます。大きな事件があり、家族が揺さぶられ、呉市にも焼野原が広がります。戦争の非情さを強調する展開ですが、同時に「そうであっても洗濯はしなければならないし、食料は確保しなければならない」という生活の部分もまた強調されます。「攻撃された、みんな死んだ、悲しい」だけではやっていけないんだというのは当たり前のことなんですが、鑑賞者という立場で言うならそこはもう少し立ち止まってほしくなるものです。でもそれをまったく無視してすずたちは明日のために服を縫ったりして、私たちにそっぽを向く。その姿こそが戦争とはどんなものか語っているような気がしました。
最後は終戦になり、すずは「勝つと思ってたからみんなやってきてたんだ!」と激昂します。すずが感情を爆発させるのはこのシーンだけです。すずは大人しくおっちょこちょいで、ぼんやりしてる普通の女の子のはずなのに、人生で初めて泣くほど怒ったのが、戦争と国に対してでした。すずが生きた時代がそういう時代だったということです。
そういうわけでほんと…ふわっとしか書かなかったのでこの記事読んだ方も観れるはず…少しでも気になったら観てください。単発の最新作で久しぶりにすごくいいものを観ました。
あと主演ののんさん(能年さん)もとってもよかったです。これからもたまに声優のお仕事やってほしい。
『この世界の片隅に』公式サイトはこちら
http://konosekai.jp/


【評価】(各☆5つで満点)
おもしろさ:☆☆☆☆☆
画の綺麗さ:☆☆☆☆☆
テンポの良さ:☆☆☆☆
キャラの良さ:☆☆☆☆☆
ハンカチ持って:☆☆☆☆☆
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